躍進的な事業推進のための設備投資支援事業|ソフトウェア導入に活用する法と申請のポイント

東京都の「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」を解説。最大1億円・助成率最大4/5で、ソフトウェア導入も対象。対象となるソフトウェアの具体例やAI音声入力を活用した現場DXの事例、申請から採択までのポイントをまとめました。

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業|ソフトウェア導入に活用する方法と申請のポイント

目次

「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」は、東京都が中小企業の設備投資を最大1億円(助成率最大2/3〜4/5)まで支援する大型の補助金制度です。機械設備だけでなくソフトウェアの導入も対象となり、IoT・AI等のデジタル技術を活用した現場DXにも活用できます。本記事では、対象となるソフトウェアの要件と具体例、そして申請を成功に導くためのポイントを専門的な視点から徹底解説します。

「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」とは? — 制度の全体像

「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」は、東京都および公益財団法人東京都中小企業振興公社が主体となって運営する、都内中小企業向けの大型設備投資支援制度です 。令和3年度(2021年度)の創設以来、単なる老朽化設備の更新ではなく、事業の持続的成長や新たなビジネスモデルへの転換、そして労働生産性の向上を目的とした「前向きな投資」を後押ししてきました

本制度の最大の特徴は、対象となる業種を問わず、製造業、建設業、IT業、サービス業など幅広い企業が利用できる点、そして助成限度額が最大1億円(特定の要件を満たすアップグレード促進区分では最大2億円)という大規模な支援にあります

事業計画の目的に応じて、以下の事業区分が設けられています。自社の投資計画がいずれの区分に最も合致するかを見極めることが、申請の第一歩となります

事業区分概要・目的助成限度額助成率
I. 競争力強化製品・サービスの質的向上や生産能力の拡大など、競争力強化を目指した事業展開に必要となる設備投資100万〜1億円中小企業者: 最大3/4、小規模企業者: 最大4/5
II. 後継者チャレンジ事業承継を契機として、後継者による事業多角化や新たな経営課題の解決に向けた設備投資100万〜1億円最大3/4
III. アップグレード促進地域経済の中心として成長するための大規模投資(ゼロエミ・賃上げコース必須)1億〜2億円最大3/4〜4/5

※第12回(令和8年度第1回)時点の区分です。第11回までは「DX推進」「イノベーション」が独立区分として存在していましたが、第12回では3区分に再編されました。ソフトウェア導入を含むDX関連の投資は「競争力強化」枠で申請できます

助成率を引き上げる特例要件(賃上げ・ゼロエミッション)

本事業では、政府および東京都が推進する重要政策に連動した優遇措置が設けられています。具体的には、「賃金引上げ計画(給与支給総額および事業所内最低賃金を一定額以上引き上げる計画)」を策定し、従業員に表明して実行した場合、助成率が最大3/4または4/5に引き上げられます 。また、導入する設備が高い省エネルギー効果を持つ場合(ゼロエミッション要件)も同様の優遇が適用されます。ただし、賃上げコースを選択した場合、助成金は2回に分割して交付され、2回目は賃上げの達成状況が確認された後に支払われる仕組みとなっています

対象企業と対象地域の厳格な要件

大型の助成金であるため、申請資格には厳格な基準が設けられています。直近の第12回(令和8年度第1回)を例にとると、基準日(令和8年4月1日)現在で「東京都内に登記簿上の本店または支店があり、都内で2年以上事業を継続している中小企業者等」であることが必須条件となります

導入設備の設置場所については、東京都内に限定されず、関東1都7県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県)の自社工場や拠点への設置が認められています。しかし、「東京都外(他県)に設備を設置する場合は、東京都内に『本店』の登記がなければならない」という重要な例外規定が存在します。都内に支店しかない企業が、埼玉県の自社工場に設備を導入するといったケースは要件外となるため、自社の登記状況を事前に確認することが重要です

対象となる設備とソフトウェア — 競争力強化枠でDXを推進する

多くの製造業や建設業の経営者が注目しているのが、第12回では助成率が最大3/4〜4/5と引き上げられた「競争力強化」枠です。競合他社の多くが工作機械購入に終始する中、自社の業務プロセスを根本から変革し、労働生産性を高めるためには、デジタル技術を活用した設備投資を「競争力強化」枠で申請することが有効です。

第11回まで存在した「DX推進枠」では「IoT、AI、ロボット及びデジタル技術の活用により、新しい製品・サービスの構築や既存ビジネスの変革を目指した事業展開に必要となる機械設備を新たに導入する事業」と定義されていました 。第12回ではこの区分は「競争力強化」に統合されましたが、デジタル技術を活用した設備投資は引き続き申請対象です。具体的には、センサーを用いた設備稼働状況のリアルタイム監視、AIによる異常検知・予知保全、自動搬送ロボット(AGV)の導入などが該当します。

そして、この枠で注目すべきポイントが「ソフトウェアの導入」です。

ソフトウェアAとソフトウェアBの違い

本事業でソフトウェアを導入する場合、審査上、そのソフトウェアの用途によって「ソフトウェアA」と「ソフトウェアB」という2つのカテゴリに分類されます。この違いを正しく理解することが、事業計画策定の成否を分けます

  • ソフトウェアA(直接部門向け) — 主に自社の生産活動や、顧客への役務(サービス)提供に直接的に使用するソフトウェアを指します。
  • 機能例:工場の生産管理システム(MES)、CAD/CAMソフトウェア、画像認識による品質検査システム、現場作業員の電子帳票・作業記録ツールなど。
  • 審査上の扱い:製品の製造やサービスの価値創造に直結するため、すべての事業区分においてメインの助成対象として認められやすいという特徴があります。
  • ソフトウェアB(間接部門向け) — 生産や役務の提供には直接関与しないものの、バックオフィス業務の効率化などにより、企業全体の生産性向上に寄与するソフトウェアを指します。
  • 機能例:財務会計ソフト、人事・労務管理システム、社内コミュニケーション用グループウェア、営業部門の顧客管理システム(CRM)など。
  • 審査上の扱い:一般的な補助金では対象外になりやすい間接業務システムですが、本事業の「DX推進枠」においてのみ、ソフトウェアAと組み合わせて申請することが認められる傾向にあります(※ソフトウェアAと合わせて上限1,000万円以下などの金額制限が付与されるケースがあります) 。これにより、工場の現場(A)と本社の管理部門(B)のデータを連携させるような、全社的なDXプロジェクトを一気に推進することが可能になります。

※ソフトウェアA/Bの区分は第11回までの公募要領に基づく情報です。第12回ではDX推進枠が競争力強化枠に統合されたため、ソフトウェアBの取り扱いが変更されている可能性があります。詳細は第12回の募集要項で確認してください。

対象ソフトウェアの区分:ソフトウェアAとBの違い

対象経費の厳格なルール:SaaSと「税法上の固定資産」の壁

本制度を利用する上で、経営者や実務担当者が見落としやすいポイントが対象経費の会計上の扱いです。本事業で助成対象となるのは、機械装置、器具備品、およびソフトウェアの「新たな導入、搬入・据付等」に要する経費であり、単価が1基(または1ソフトウェアシステム)あたり50万円(税抜)以上のものに限定されます

ここで重要なのが、導入するソフトウェアが「税法上の固定資産(無形固定資産等)」として自社の資産に計上できるものでなければならないという原則です

昨今のソフトウェア市場では、初期費用を抑えて月額利用料を支払うクラウド型のSaaS(Software as a Service)が主流となっています。しかし、SaaSの月額・年額利用料は会計上「通信費」や「支払手数料」などの経費(費用)として処理されるのが一般的であり、資産として計上できません。したがって、純粋な月額課金型のSaaSは原則として本事業の助成対象外となります

ただし、クラウドベースのシステムであっても、要件を満たせば対象となる解決策は存在します。例えば、「ライセンスの永久買い切り(一括購入)方式」を選択できる場合や、自社の業務フローに合わせてシステムを調整するための「初期導入開発費・カスタマイズ費用・導入支援費用」が、会計上ソフトウェア資産として計上できる性質のものであれば、その初期投資分を助成対象として申請できる可能性があります。また、自社のサーバーに導入するオンプレミス型のパッケージソフトであれば問題なく固定資産となります。

なお、自社の要件に合わせてゼロからシステムを構築する「スクラッチ開発」は本事業では対象外とされており、すでに市場で販売され仕様が固まっているパッケージソフトやアドオン製品の導入が推奨されています 。導入予定のソフトウェアが税務上どのように処理されるかについては、ベンダーから正確な見積もりを取得するとともに、必ず顧問税理士や東京都中小企業振興公社へ事前に確認を行ってください。

現場DXに活用できるソフトウェア例

では、具体的にどのようなソフトウェアを導入すれば、審査で評価され、かつ自社の生産性を高めることができるのでしょうか。以下に、製造業や建設業など、実作業を伴う現場(フロントライン)を持つ企業に最適な「ソフトウェアA」のカテゴリ例を挙げます。

1. 電子帳票・現場記録ツール

紙ベースで行われている製造日報、機械の始業前点検表、品質検査のチェックシート、建設現場の工事日報などをデジタル化するシステムです。タブレットやスマートフォンから直接クラウドにデータを送信することで、事後に行われていた事務所でのExcelへの転記作業(二重入力)をなくします。近年では、現場作業特有の「手が汚れていて画面を触れない」「手袋をしている」といった課題を解決するために、AIによる音声入力技術を用いたハンズフリー入力ツールも登場しており、現場DXの第一歩として非常に導入効果が高い領域です。

2. 生産管理・工程管理システム(MES連携)

属人的なホワイトボードやExcelによる管理から脱却し、受注、生産計画の立案、工程の進捗確認、部材の在庫管理までを一つのシステムで一元管理します。工場内の各工程に設置された端末からリアルタイムで実績が入力されるため、「今、どの製品がどの工程でどのくらい進んでいるか」「仕掛品がどこに滞留しているか」が可視化されます。これにより、特急品の割り込みへの柔軟な対応や、リードタイムの短縮、適正在庫の維持が可能となります。

3. IoTセンサーデータ収集 + 可視化ダッシュボード

稼働中の古い工作機械や成形機などに、後付けのIoTセンサー(電流センサー、振動センサー、温度センサー等)を取り付け、そのデータを収集して可視化するソフトウェアです。機械の稼働時間や停止時間(チョコ停)のデータを自動で集計し、OEE(総合設備効率)を算出します。さらに、異常な振動や温度上昇を検知した際に管理者のスマートフォンにアラートを通知する機能を備え、致命的な故障を未然に防ぐ「予知保全」を実現します。

4. 品質管理・検査システム(QMS)

ノギス、マイクロメーター、トルクレンチなどのデジタル測定器から、Bluetoothなどの無線通信を介して測定データを直接ソフトウェアに送信・記録するシステムです。検査データの入力ミスや改ざんを防止するだけでなく、収集したデータをSPC(統計的工程管理)手法でリアルタイムに解析し、製造工程における品質のばらつき(管理限界への接近)をいち早く検知して、不良品の発生そのものを抑制します。

5. 安全管理・ヒヤリハット報告システム

工場内や建設現場で発生したヒヤリハット事案や、安全パトロールの結果を、写真付きで即座にクラウド上に記録・共有するシステムです。スマートフォンから数タップで報告できる環境を整えることで、現場からの報告件数を増やし、潜在的な危険箇所(リスクの芽)をデータとして特定します。このデータを基に、より安全な作業手順の策定や設備改修を行うことで、重大な労働災害を未然に防ぎます。

活用イメージ:AI音声入力で現場帳票を電子化

前述の「1. 電子帳票・現場記録ツール」の領域において、「ソフトウェアA(生産活動に直接使用するもの)」の要件に合致し、かつ現場の生産性を変える具体的なソリューションとして、AI音声入力システム「ながら記録」の活用イメージを紹介します

「入力の壁」を突破するAI音声帳票

製造業や建設業においてペーパーレス化が進まない最大の理由は、「現場の入力の壁」にあります。多くの企業が意気込んでタブレットを導入しても、作業員の手が油や粉塵で汚れていたり、厚手の手袋を着用していたり、あるいは工具で両手が塞がっていたりするため、都度作業を中断して画面をタップすることが現実的ではありません 。結果として、「とりあえず紙にメモをして、夕方に事務所のPCでまとめて入力する」という運用に戻ってしまい、リアルタイム性の喪失と残業時間の増加を招いています。

「ながら記録」は、生成AIと自然言語音声認識を活用し、作業者が「作業をしながら、声だけでハンズフリーで記録できる」AI音声帳票システムです

  • 初期設定の自動化による導入負荷の極小化 — 既存の紙の帳票やExcelフォーマットをスマートフォンで撮影するだけで、AIがレイアウトを解析し、最適な入力フォームを自動生成します。管理者が複雑なシステム設定を行う手間を省きます
  • 自然な対話によるインテリジェントなデータ入力 — 「温度は85度で異常なし、担当は鈴木」と自然な言葉で話しかけるだけで、AIが文脈を解析し、「温度」「状態」「作業者名」といった各入力項目へ自動でデータを振り分けて記録します
  • 現場の多様性に対応するマスタ連携と多言語対応 — 作業者名や部品番号などのマスタデータと照合しながら入力を行うため、言い間違いによるエラーを防ぎます。また、AIは外国語の認識も可能であり、日本語に不慣れな外国人労働者であっても、母国語で正確に作業記録を残すことが可能です

現場DX投資としての適合性

このようなAI音声入力ツールの導入は、単に紙をPDF化するような表面的なデジタル化(デジタイゼーション)ではありません。「AI技術の活用によって、作業者の行動様式を変え、データ収集のボトルネックを解消することで、全社的なデータドリブン経営の基盤を構築する」という、まさに既存業務の根本的な変革(デジタルトランスフォーメーション)を実現するものです。

したがって、躍進的な事業推進のための設備投資支援事業において、現場の生産性を直接的に向上させる「ソフトウェアA」として、説得力のある事業計画を策定することが可能となります。

※補助金活用に関するご相談:

「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」を活用した、「ながら記録」による電子帳票導入の具体的な進め方や要件確認について詳しく知りたい方は、資料請求フォームの備考欄に「補助金活用について相談したい」とご記入ください。経験豊富な担当者が、貴社の現場課題に合わせた最適な活用シナリオをご案内いたします。

申請の流れ・スケジュール・採択のポイント

最大1億円(アップグレード促進区分は2億円)という大規模な助成金であるため、申請から交付、そして事業完了までのプロセスは非常に厳格に管理されています。綿密なスケジュール管理と入念な事前準備が、採択を勝ち取るための絶対条件となります。

申請の基本ステップ

申請手続きは、おおむね以下の8つのステップで進行します。

  • GビズIDプライムアカウントの取得 — 本事業の申請は、国(デジタル庁)が提供する電子申請システム「jGrants(Jグランツ)」でのみ受け付けており、郵送や持参は一切不可です。Jグランツにログインするためには「GビズIDプライムアカウント」が必須となりますが、このアカウントの審査・発行には原則として2週間程度の時間を要します。申請を検討した時点で、すぐに取得手続きを開始してください
  • 公募要領の確認と事業計画の策定 — 自社の経営課題を分析し、設備投資によってどのように競争力が強化され、生産性が向上するかを論理的に構成した事業計画書(申請書)を作成します
  • 申請予約 — 指定された期間内に、Jグランツ上で事前の「申請予約」手続きを行います。この予約を行わなければ、本申請に進むことはできません
  • 申請書類の提出(本申請) — 受付期間内に、事業計画書、決算書、登記簿謄本、設備の相見積書などの必要書類一式をJグランツ経由で提出します
  • 一次審査(書類審査) — 公社の審査員によって、提出書類に基づき事業の革新性、実現可能性、資金調達の妥当性などが審査されます
  • 二次審査(面接審査・価格審査) — 一次審査を通過した企業に対し、公社において面接審査が実施されます。経営者や事業責任者が直接、事業計画のプレゼンテーションと質疑応答を行います。同時に、導入する設備やソフトウェアの見積価格が、一般的な市場価格と比較して不当に高額でないかどうかのチェックを受けます
  • 採択決定・交付決定 — 審査を通過すると採択が通知され、その後正式な「交付決定」が下ります。ここで絶対に注意すべきは、交付決定日より前に設備の発注・契約・事前支払いを行ってはいけないという点です。事前着手した経費は、いかなる理由があっても助成対象外となります。
  • 助成対象期間開始(設備導入・支払い) — 交付決定日の翌月1日から起算して1年6ヶ月の間に、対象設備の納品、検収、据付、そして全額の支払いを完了させる必要があります

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業

申請から設備導入までのフロー

1

GビズID取得

約2週間

jGrants申請に必須。審査・発行に約2週間かかるため、最初に着手

2

計画策定・見積取得

事業計画書の作成、導入設備の選定、同一型番で2社以上の相見積もりを取得

3

申請予約

指定期間内にjGrants上で事前予約。予約なしでは本申請に進めない

4

申請書類提出

事業計画書、決算書、登記簿謄本、見積書等をjGrantsから電子申請

5

一次審査(書類)

約1〜2ヶ月

事業の革新性、実現可能性、資金計画の妥当性を書類ベースで審査

6

二次審査(面接・価格)

経営者が事業計画をプレゼン。設備価格の妥当性も厳格にチェック

7

採択・交付決定

審査通過で採択通知。正式な交付決定後に初めて設備の発注が可能に

交付決定前の発注・契約・支払いは対象外

8

設備導入・支払い

最長1年6ヶ月

交付決定日の翌月1日から最長1年6ヶ月以内に納品・検収・全額支払いを完了

出典: 東京都中小企業振興公社「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」公募要領より作成

公募スケジュールと推定採択率

本事業は通常、年間を通じて3回程度のペースで公募が実施されます。直近の第12回(令和8年度第1回)に関する情報は令和8年3月16日に公開されました。申請スケジュールの見込みとしては、助成金説明会が3月30日に開催され、本申請の書類提出期間は令和8年4月21日(火)から4月30日(木)17時までという、非常にタイトな日程が組まれています

採択率に関して、公社からの公式な発表は行われていません。しかし、民間コンサルタント等の分析や事業全体の予算規模から推測すると、回次によって変動はあるものの、概ね10%〜40%程度のレンジで推移していると考えられています。1回あたりの採択企業数は東京都全体で100社前後に留まることが多く、非常に競争率の高い狭き門であると言えます。

採択を引き寄せるための3つの絶対条件

採択されるためには、以下のポイントを押さえた事業計画が不可欠です。

  • 事業計画の戦略性と一貫性 — 「古い機械が壊れたから新しいものが欲しい」「ソフトウェアを入れて楽をしたい」といった単なる設備更新や業務効率化の要望では採択されません。市場環境の分析に基づき、自社の独自の強みをどのように活かし、今回の設備・ソフトウェア導入が「売上の拡大」や「新製品・サービスの創出」といった経営戦略にどう直結するのか、一貫したストーリーを構築してください
  • 労働生産性向上の明確な数値目標 — 投資による効果は、客観的な数値で示さなければなりません。事業計画期間中において、付加価値額や従業員一人あたりの労働生産性が「年率3%以上」向上するといった、具体的かつ実現可能な収支計画と数値目標の設定が審査の重要な焦点となります
  • 同一型番での2社相見積もりと価格の妥当性 — 公的資金を用いる性質上、不正受給や不当な価格吊り上げを防止するための審査は厳格です。原則として、導入する設備やソフトウェアと同一仕様・同一型番について、必ず2社以上からの相見積もりを取得してください。また、提出された見積金額が一般的な市場価格と比較して著しく高額であると判断された場合、大幅な減点や不採択の対象となるため、適正価格で申請してください

よくある質問(FAQ)

設備投資支援事業の申請実務において、経営者や担当者から頻出する7つの疑問について、制度の運用ルールに基づき端的に回答します。

Q1. 「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」の採択率はどのくらいですか?

東京都中小企業振興公社からの公式な採択率の発表はありませんが、過去の実績や推計から、回次により10%〜40%程度で推移していると見られています。1回あたりの採択社数は100社前後となる競争の激しい制度です。

Q2. ソフトウェア単体だけでも申請することは可能ですか?可能です。ただし、ソフトウェア1基あたり50万円(税抜)以上という単価要件を満たす必要があります 。生産やサービス提供に直接関わる「ソフトウェアA」であれば多くの事業区分でメインとして申請可能ですが、間接業務向けの「ソフトウェアB」は、原則としてDX推進枠においてのみ申請が可能となります

Q3. SaaS(月額課金型サービス)は助成対象になりますか?原則として対象外です。本制度の対象となるソフトウェアは「税法上の固定資産(無形固定資産等)」として資産計上できるものに限定されています 。月額課金のSaaSは経費(通信費等)処理となるため、ライセンスの一括購入(永久ライセンス)や、資産計上可能な導入初期カスタマイズ費用など、要件を満たす形態での契約方法をベンダーと協議してください。※第12回ではDX推進枠が競争力強化枠に統合されています。

Q4. 本社は東京都ですが、工場が他県にある場合でも申請できますか?申請可能です。東京都内に登記簿上の本店(または支店)があり、都内で2年以上事業を継続していれば申請資格を満たします 。設備の設置場所は関東1都7県(東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城、栃木、群馬、山梨)が対象ですが、都外(他県)に設置する場合は「東京都内に『本店』があること」が絶対条件となります

Q5. 書類審査後の面接審査では、どのようなことが聞かれますか?一次審査(書類)を通過した企業に対して行われる面接審査では、事業計画の戦略的妥当性、設備投資による生産性向上の見込み、資金調達の確実性について、実質的な実現可能性を確認されます 。提出した見積もりが市場価格と比較して適正かどうかの価格審査も同時に実施されます

Q6. 補助金を受給した際、税務上の「圧縮記帳」は適用できますか?本事業のように国や自治体からの「国庫補助金等」に該当し、かつ固定資産の取得に充てられる補助金については、一般的に圧縮記帳の対象になりうるとされています 。圧縮記帳を活用することで受領年度の税負担を平準化できますが、税務上の要件判断は複雑なため、適用可否については必ず事前に顧問税理士にご確認ください。

Q7. 次回(第12回)の公募スケジュールはどうなっていますか?本事業は年3回程度のペースで公募されます。最新の第12回(令和8年度第1回)については、2026年3月16日に情報公開され、申請受付期間は「令和8年4月21日(火)〜4月30日(木)17時まで」の予定となっています 。最新情報と募集要項は、必ず公社の公式ウェブサイトを定期的に確認してください。

まとめ

東京都が提供する「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」は、企業の未来を大きく切り拓くための制度です。本記事で解説した重要なポイントを以下の5点にまとめます。

  • 最大1億円規模の支援 — 東京都の中小企業向け設備投資支援制度であり、事業計画に基づく投資に対し、最大1億円(助成率最大2/3〜4/5)の助成を受けられます。
  • デジタル技術を活用した設備投資も対象 — 第12回では競争力強化枠に統合され、助成率も最大3/4〜4/5に引き上げ。ソフトウェア単体の導入にも活用できます。
  • ソフトウェアA/Bと固定資産要件 — 直接部門向け(A)と間接部門向け(B)で申請可能な枠組みが異なる点や、SaaSなどの月額課金ではなく「税法上の固定資産」として計上できる形態が必要である点に注意が必要です。
  • 現場DXツールの導入に最適 — 電子帳票システム、生産管理(MES)、IoTセンサー可視化ツールなど、現場のボトルネックを解消し生産性を高めるソフトウェアの導入費用を抑えられます。
  • 早急な事前準備が鍵 — 約2週間を要するGビズIDプライムの取得や、2社相見積もりの手配、そして説得力のある事業計画書の作成など、次回公募に向けて今すぐ準備を開始することが不可欠です。

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出典・参考文献

  1. 第11回(令和7年度第3回)躍進的な事業推進のための設備投資支援 — 東京都中小企業振興公社
  2. 躍進的な事業推進のための設備投資支援事業 — 東京都中小企業振興公社
  3. 【2026年】躍進的な事業推進のための設備投資支援事業とは?第12回の概要・申請方法を解説(東京都) — 補助金ポータル
  4. 第12回(令和8年度第1回)躍進的な事業推進のための設備投資支援 — 東京都中小企業振興公社
  5. 【すべての業種対象】最大2億円・助成率4/5の助成金で設備投資を支援! — PR TIMES
  6. 【最新版】躍進的な事業推進のための設備投資支援事業活用ガイド — Planbase
  7. Planbase コラム — Planbase
  8. 出展製品詳細(2026年度 名古屋展) — Japan IT Week
  9. 生成AI×音声入力が実現 -「帳票電子化」の新しいカタチ — ながら記録
  10. ながら記録 | AIで、現場の記録を自動化。 — ながら記録公式サイト
  11. AI × 音声入力による次世代型帳票ツール「ながら記録」をリリース — PR TIMES
  12. 【2026年最新版】躍進的な事業推進のための設備投資支援事業|助成金の概要と採択のポイント — プロコンサルティング
  13. 躍進的な事業推進のための設備投資支援事業 コラム — 中小企業経営支援事務所
  14. 第10回(令和7年第2回)躍進的な事業推進のための設備投資支援事業 — 東京都中小企業振興公社
  15. 第12回「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」完全解説 — 壱市コンサルティング
  16. 補助金と圧縮記帳|どの補助金なら税負担を減らせる?制度ごとの適用可否を解説 — 麹町キャピタル
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